Q.分銅を手で触ってはいけないのは何故ですか?

A.指には実は脂肪分が常に覆っています。本当かなと思いますが、一番身近に感じる例は指紋です。最近ではみなさんが日常よく使っているスマートフォンに指紋が残ってしまい、あまりいいイメージを持つ人はいないと思いますが、指紋を生み出す脂肪分にもしっかりと役割があります。その役割は主に二つで、一つは「毛のない手の皮膚を守るため」と、もう一つは「物を掴みやすくするため」です。みなさんが水を飲むためにコップを持ったり、スマートフォンを持ったりと、すべりやすいものをしっかり持てることができているのは、この脂肪分の役割が大きいのですね。

しかし、今回の場合はこの脂肪分が悪さをおこします。どういうことかというと、手で分銅を持ってしまうと、指先の脂肪分が分銅の金属と反応し、酸化することで錆ができたり、分銅についた脂肪分が空気中の塵や埃とくっついたりします。その結果、酸化した分や塵や埃がくっついた分だけ重くなり、正確な重さを計ることができなくなります。こういった酸化を防ぐため、最近の分銅は腐食のしにくいステンレスで作られることが多いです。そのため、後者の理由の「脂肪分が空気中の塵や埃とくっつく」というのが、一番の理由となります。

では、手で触ってはいけないとすると、どのような扱い方がよいのでしょうか。

そうですね、昔の理科の授業を思い出してみると、ピンセットで重りを掴んではかりまで運んでましたよね。また重りの方にも、ピンセットでつまみやすいように、カギ状の突起がついていましたよね。大人になって振りかえってみると小学校の授業といえど、実は様々な先人の工夫がところかしこにあったのだと気づかされます。

ちなみに、なぜ一般的な重りのことをわざわざ「分銅」という名前になったかというと、昔の通貨である金や銀が関係します。どういうことかというと、昔の通貨は今のような千円や一万円といった目に見える通貨を交換して支払っていたのではなく、金や銀をその場で計って、その金や銀の価値を決めていました。その際に重さを決める基準となったのが、銅ではなく青銅です。青銅は、金や銀はもちろん、鉄よりも錆びにくいという性質をもっていたので、当時は重宝されていました。(ちなみに現在使われている10円玉は青銅製です)。このような由来から、「青銅を分ける」→「銅を分ける」と転じ、現在のように「おもり」をあらわす言葉として用いられるようになりました。